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我慢から逃げ回り続けることへの不安と、ぼくの嫌いなエビフライ

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kuwazugirai-to-ebi

自慢ではないが、ぼくは好き嫌いが多いほうではない。むしろ少ないほうである。

一般的には嫌われものであるグリーンピースだって、べつに嫌いじゃない。さして気にならない程度にあしらうことができる。パクチーだって人参だって嫌がらずに食べてきた。

ピーマン。あいつは旨い。苦味があるがイヤな苦味じゃなく、他の食材といっしょに口に入れたときには、ほどよい苦味が逆に料理の味を引き立ててくれる。

しかしエビよ、おめーはダメだ。

ぼくの天敵

この話をすると友人には「人生の半分を損してる」なんていわれるが、そういうやつには「おめーの人生やすっぽいな!」と言い返している。

あれのなにが旨いんだろうか。

エビフライなんて、もってのほかだ。口に入れて噛み付いたときのブリッとした食感が——思い出しただけでも口の中が不快感で満たされてきた。

エビを美味しいと感じられないことを、悔しく思ったことなんか一度もない。しかしみんながそこまで勧めるんだから、やはり一般的には「おいしい食べ物」なんだろう。

ぼくも32歳の良い大人である。嫌いなものを嫌いだと言って避け続けるのも、なんだか大人げない。半分とはいかないまでも、人生のほんの一部分では損をしているのではないだろうか、なんて思ったりするものだ。

一瞬の気の迷い。ほんのちょっとした好奇心。あるいはチャレンジ精神。

最後に食べたのはいつだったか。あの頃はまだまだ自分が未熟なだけであって、成長した自分であればヤツを美味しいと思えるのではないか。

ほら、グレープフルーツがそうだったじゃないか。あいつも小さい頃は嫌いだったが、最近になってグレープフルーツジュースが無性に美味しく感じたことがあった。未だに生のグレープフルーツは厳しいが、グレープフルーツジュースならイケる!

同じことがエビにもいえるかもしれない。なんだ、ただの食わず嫌いだったのか。今からでも、人生の楽しみの半分のうち、いくらかでも取り戻せるかもしれない。

よし、食べよう!食べてみよう!

 

やっぱりエビよ、おめーはダメだ。

何度も挑戦し、何度も失敗し

こんなことを人生のなかで何度繰り返したかわからない。挑戦しては破れて、やっぱり不味いと再認識させられる。

700円もかけて人生の苦い思い出を買うぐらいだったら、好物のトンカツを食べればよかった。そんな後悔を、いままで何度も味わってきた。

それでも、なんでかなぁ。たまーに挑戦したくなっちゃうんだよね。

なかには大丈夫になるもの、好きになるものもあったんだ。グレープフルーツもジュースであれば好きになったし、トマトも昔は嫌いだったけど、いまではむしろ好物に近いぐらいのものになった。

だからどこか、後悔してるのはわかっているのに、たまにはチャレンジしたくなってしまう。

嫌いなものを退けて良いのか?

kuwazugirai-to-ebi_1

大人になって、いろいろと我慢しなくて良くなってきたように思う。

昔はいっぱい我慢した。親という絶対的恐怖があったから、テレビの見られる時間も、ゲームをプレイできる時間も、お菓子を食べる回数も——。自分の思うようにはいかないものばかりだった。

それが大人になって、ずるくなったものだ。

見たくないものを見ず、聞きたくないものは聞かないように、自分で周りの環境をコントロールできるようになった。

そして、好きなものだけに取り囲まれて、居心地の良い環境をがんばってつくっている自分がいる。

この前、とある著名人のTwitterを見ているのが不快だと気づいたぼくは、フォローを止めて、コメントが流れないようにミュートをしようと考えた。

そして、設定ボタンに指をかけたときに、ふと考えたのだ。

でも、それでいいんかなぁ。
これって、新しい何かと出会う機会を自分で手放して、自分で自分の成長を制限してしまってるんじゃないかなぁ。
なにかとてつもなく大きなものを無くして、もったいないことしてるんじゃないかなぁ。

我慢知らずのぼくの生活を、ふと省みたりする。

うーん———。10秒ほど考えて、だした答えは「まぁ、いいんだろうなぁ」であった。

きっとこれは、ぼくにとってのエビフライ。イヤなものはイヤだし、無理して食べることはストレスにしかならない。

でもどうせ、いつかまた、チャレンジしたくなるだろう。「いまの自分なら、もしかしたらイケるんちゃう?」なんて淡い期待を込めて、またフォローし始めるんだろう、未来の自分よ。

だから今は、フォローを解除する。ミュートもする。そのときが来たら、ちゃんと食わず嫌いせずに、チャレンジするよ。

それでもまだ嫌いだったら、またそっとミュートする。そんなことの繰り返しで、いいんじゃないかな。

見たくないものは見ず、聞きたくないものは聞かない。それで良い。

でも、視界を遮っている両の手の隙間からちょっとだけ覗き見る好奇心と、塞いだ耳の隙間から漏れ聞こえる音を必死で拾おうと聞き耳を立てるチャレンジ精神は、いつまでも忘れてはいけない。


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